古くより日本人の主食として食生活に欠かせないお米ですが、生産者である日本のお米農家は現在さまざまな深刻な問題を抱えています。
このままではお米農家だけではなく私たちの安全な食文化へも悪影響を及ぼしかねない状況です。
八十八回もの手間をかける「お米」の持つさまざまな優れた要素をもっと有効に活用し日本の農業を応援してまいります。
日本国民一人当たりのお米の消費量は年々下がり続けており、1970 年と比べ半分にまで減少。主な理由として、経済の発展により食の多様化が進み、パンやお肉中心の食生活に移行したことがあげられます。その結果、お米の消費量よりも生産量が増えてしまう、いわゆる「米あまり」問題が発生。国によってお米の生産量そのものを減らす対策が取られるなど、日本人の米離れがますます深刻化しています。
全国的な「米あまり」でお米の生産量が減らされる中、1993 年には、冷夏で稲が育たなくなる「冷害」が起こりました。深刻な米不足に見舞われた日本は、それまで厳しく制限していたお米の海外からの輸入を始めますが、これにより価格の安い外国米が国内に広がりました。また、TPP 交渉への参加に伴い、より多くの外国米の輸入が求められ、生産者の抱える問題も拡大しています。
米価の低下により生産者の減収が加速し、現在も深刻な赤字問題を抱えているお米農家。高度経済成長により生活物資の価格が軒並み上昇する中で、実は唯一価格が下落しているのがお米。物価の安い時代と比較してみると、米価の変化率は-300% 以上にもおよび、大変厳しい状況になっています。
新規就農者の減少、少子高齢化などで日本の農業就業人口の減少は加速しています。また、耕作や管理が行われなくなり放置された農地の拡大もあり、使える農地もどんどん少なくなっています。お米消費の減少に伴い、「生産者」も「農地」も減ってしまうと、将来日本で生産されたお米を食べられなくなる可能性があるのです。